イベントなどで紡毛機で糸を紡いでいると、時々、「懐かしい、昔ばーちゃんがやっていた」と見入って下さる方がいらっしゃいます。
かつて十勝には、自宅や地域で小頭数羊を飼い、その毛で家族のために防寒着を作るという文化があったからです。
「ばーちゃんとひつじプロジェクト」は、
そういった、<生活の中にめん羊がいた世代の方>や<物資に乏しい時代、作れる物は何でも作った方>など、往事は手仕事の担い手だった方々と
<地元の羊の毛>を介して時間を共有しながら技術や知識を次世代につなげていく活動で、
「本人がやりたいと思って、出来ることをして、報酬を得る」ことで、「どんな状態になっても、誰かのために何かが出来るという<当たり前>の豊かさ」を目指しています。
具体的には
「高齢者がいるところにクラフターが赴き、一緒に地域で収穫した羊毛をほぐしきれいする、もしくは預けて作業してもらう」
「クラフターが用意した羊毛を紡いだり、手紡ぎ糸で得意な物を編んでもらう」
「してもらった作業には工賃を払う」
「昔羊を飼っていた頃のこと、手仕事のことを教えてもらう」…などなど
なんてことをしてます。
活動にはシンプルですがルールがあります。
「参加は本人の自由意思、強制しない」 「労働に、事前に相談し決めた対価を払う」 「無理なく楽しく。出来ているところを知り互いに精度を高める」
参加する方にも、
「気分が乗らないときはお休みを」 「ペースや出来ることは人それぞれ」 「昔の手仕事、どんな羊飼っていたかなど、楽しいお話大歓迎!」
とお願いしています。
2015年、わたしはひつじが、
「羊をツールに介護予防がしたい、よりよく生きるお手伝いをしたい」
「どんな状態になっても、自分が望めば誰かの役に立てる、労働に対価が得られるのが当たり前になったらいい」
「どんな風に羊飼っていたのか聴きたい」
「その人の来し方、今できることを知る場を作ることで、支援・被支援者がフラットな関係性を得られないだろうか」
と思い立って、ふらふら細々活動を始めて以来、
「ばーちゃんとひつじ」のばーちゃんたち
・グループホーム ワンズホーム(2017〜 現在訪問なし)
・小規模看護多機能事業所りんどう(2019〜2022)
・更別村シルバーハウジング(2021〜)
・特別養護老人ホーム芽室けいせい苑(2024~)
「ばーちゃんとひつじ」のひつじの人(クラフター) ・hitsuji note(2020~)
が理念を共有してくださり、ともに活動していただいてます。
本当にありがとうございます。
#ばーちゃんとひつじ
と記載されている商品は、このプロジェクトを介して作られたもので、制作の過程に高齢者が関わっています。
北国で、防寒着・温もりあるものを作るということは、命を守ることと同義。
凍てつく寒さを知る人たちだからこそできる、生活に根差した手仕事が、昔も今も、手に取る人を守ってくれますように。
こういうことをしていると、「お年寄りのために偉いね」とか「年寄りすることないから喜ぶしょ」と勘違いされることが多いのですが、
かつて羊を飼って家族のために防寒着を作っていた世代の方々は、家族や生活のためにモノづくりをされてきた方が多く、何においても使う人のことを考えて仕事が丁寧で、私の方こそ助かっています。
また、当時の羊の話や、経験に基づく生活の知恵は大変興味深く学ぶこと多く、なにより皆さんと一緒に仕事するのはとても楽しいです。
出来るだけ対等で相補的な関係でありたいと考えていますが、きっと私の方こそ得る物ばかりだと思います。
「昔羊飼ってたよ」
「何でも編んだよ」
「ものづくり好きなんだよね」
「わたしもやってみたい」…などなど
ご興味ある方や、
「○○さん、昔羊飼っていたっていってたな…」
「△△さん、特技・趣味に編み物って書かれていたっけ…」
「□□さん、手先器用だよね…」
「〇〇さん好きそう!」…などなど
楽しそうに作業される誰かが思い浮かんだ方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
資料と羊毛と道具を担いではせ参じます。
一緒に豊かな時間を過ごしましょう(^人^)
SNSで随時活動を発信していますので、ご注目いただければ幸いです。